おいしい毎日

毎日のこといろいろ。ラグビー好き!

山を下りてみた夢

久しぶりに裏山を歩いた
ふと気付くと愛犬が死んでから一度も行ってなかった


山の入り口でもう彼のことを思い出した
この広場を嬉しさでたまらない様子で走り回っていた頃のこと


木々は紅葉を始めている
緑、赤、黄、そしてその間からのぞく青空
木々はすべて天へと向かっている
その凄まじいエネルギーをあらためて知った
彼を思い出すたびに涙が溢れるのだけれど
下を向いて歩くことを許さないほどの上へと向かう力を感じた


ただ頂上を目指して歩く
心を空にして歩く
あれ?からにするって・・そらのようにすることかしら?
風の吹くままに雲が流れるように
ただそのままにあるがままに・・・?


からだを動かしていると自然に動きが滑らかになる
そんな風に鍛えた体はもしかすると叩きあげられた焼き物に似ているかもしれない
適度に薄く軽く、そしてなにより強い
その逆のものが重くぼってりと脆いのに対して・・・


心を宿す容れ物だとしても
それもまた上質なほうがいい
そしてまた同じ大きさでもそのほうが入るものが多くなる


そんなことをつらつらと考えながら頂上
彼と一緒に登った時もなにか考えながら登っていたような気がする
そして時折彼を見て彼と戯れて・・
今にして思えば彼もまたそうだったのかもしれない
犬と人
言葉が違うだけで彼も彼の考えを持ちながら山を歩いていたのかもしれない


登り切ったあたりで山に来た意味を知ったような気がして
ここに導いてくれたいくつかの出来事に感謝して
なんだか心に一区切りついたような
または大切なことを思い出したようなそんな気分になった


そしてその夜
彼の夢を見た
恥を承知で白状するなら私は彼に二回噛まれたことがある
相性の悪い犬とケンカしそうなときに抱きあげようとして一度
奥歯になにかの骨をはさめてしまってパニックになっていたときに一度
彼なりの理由があることは分かっていたけれど
その痛さと怖さでどこか少し彼にたいして臆病になってしまったのだった


そんな彼にまたもや夢の中で噛まれたのだ
でもそれはなんだか承知の上で
申し訳なさそうにしている彼をそのまま撫で続けて
いいんだよ、大丈夫だよって見つめていた私がいた
左の手首の少し上、外側にぐさりと傷跡が見えて
本当に噛まれた痛みがした気がしたのだけれど
当たり前の話だけれど、起きてから見てもなにも変わっていなかった
でもなんだか現実でできなかったこと言えなかったことを
彼に夢の中で伝えたような気がした


山に登って、
木々の命の力とともに
彼の魂もそこにあるような気がしたから・・
いなくなったと思っていたのは私たち人間だけで
彼はきっといる、そこにいて見守ってくれているのだろう
天へ、高みへと気を立ち上らせる木々に囲まれて
そう思えた日
昨日・・・秋の最後の日・・・